看護師が転職先の病院を選ぶ際、基準にする要素のひとつとなるのが福利厚生です。福利厚生が充実している病院で働けば、日々の生活がより良いものとなります。では、福利厚生とはそもそもどのようなものなのでしょうか。
福利厚生とは、職員とその家族がより良い社会生活を送るために設けられている制度のことです。福利厚生の内容は病院ごとに異なりますが、職員の利益のために行われている施策はすべて福利厚生と考えることができます。就職先や転職先を選ぶにあたって福利厚生を重視する人が多く、人気が高い病院は福利厚生の内容が充実している傾向にあります。福利厚生の充実度が人材の質を左右する重要なポイントとなっているため、福利厚生に力を入れる病院も増えています。
福利厚生と呼ばれるものには、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。法定福利厚生とは法律に基づいて実施される福利厚生のことで、基本的にはどの施設でも適用されるものです。法定外福利厚生とは施設独自の福利厚生のことで、住宅手当などの各種手当もここに含まれます。
法定福利厚生に該当するのは、厚生年金保険や健康保険、介護保険などの社会保険。雇用保険や労災保険などの労働保険。これらが病院側の負担すべき最低限の保障です。社会保険料については、病院側が半分を負担します。労災保険料については全額、雇用保険は6割を病院側が負担するよう法律で定められています。法定福利厚生はどの病院でも取り入れている基本的な制度ですが、一般企業の中でブラック企業と呼ばれるようなところでは法定福利厚生を取り入れていないケースもあります。法定福利厚生がないことはまれですが、転職を決める前に福利厚生の有無や内容をよく確認しておくことをおすすめします。
法定外福利厚生は法律で定められておらず、病院が独自の判断で取り組むことができる福利厚生です。内容はそれぞれの病院で定められており、住宅手当や定期検診の費用、保養所の利用や社内レクリエーションなどさまざまなものがあります。法定外福利厚生は絶対的に取り入れなければならない福利厚生制度ではないため、病院側が必要なしと判断するならまったく取り入れなくても法的には問題ないものです。しかし、転職者の多くが福利厚生の充実度を基準に求人を探す傾向にあることから、人材確保のための策として福利厚生は重要度が高い要素と位置付けられています。福利厚生の内容が個性的だとメディアなどで話題になりやすく、優良施設としてのアピール材料ともなります。法定福利厚生の内容を比較すると、各病院の個性の違いがよりはっきりと見分けられるでしょう。